Native Americanの大地へ


3/2 ハバスパイ

今日は朝から快晴だ。
やはり身体はあちこちが痛い。 珈琲を買いにカフェに行く。ショップの前の社交場に数人人が集まっている。
今は授業中なのかいつもはたくさんいる子供たちも今はおちびさん達だけだ。
それにしても、ここの村の人々は太っている人が多い。特に女の人。食べ物のせいなんだろうか、アメリカの生活様式の弊害なのか、それとももともとそういう体格の部族なのか。 しかし観光客ということに多少の警戒や好奇心は
あるものの、みんな親切だ。それに気軽に挨拶をしてくれる。

ロッジに戻って、昨夜の残り物で朝食を済まし出発した。 今日の道は村中と同じ土の道で歩きやすい。トレイルに入るとすぐ河の音が聞こえてくる。右側は崩れた岩がゴロゴロしていて、ちょっとおっかない。 村の一番端の家を過ぎると、背の高い草むらがつづく。道が幾つか分かれているので河の方に進んでみると、土を盛って造られた洞穴の様なものがあった。前には炭状になった丸太とジュースの空ケースがふたつばかり無造作に置かれている。なんの小屋だろう。 すぐそばには河が流れていて、なかなか美しい場所だ。

少し行くと右手の岩壁の下に地下水がしみ出ている場所がある。かなり勢いよく水が流れ出している。みんなに使われているらしく、出口は補強されていて、小さなバケツが置かれていた。

進むにつれて河の音が大きくなっていく。かなり河幅も大きく段差もある。しかし木が生い茂っていて、全貌は見えない。林の中を過ぎると、道が大きく削られているところに出た。ここは崩れやすいので柵にあまり近づくことができない。

左側をみると、いつのまにか大きな落差を水が流れていた。ナバホ滝だ。大きな流れが二つと木が生い茂っている間を幾筋もの流れが高さどれぐらいあるだろうか、勢い良く落ち込んでいた。落ちはじめは少し陰になっていて滝壺の辺りは日が差し込んでとても青い。滝全体が木々や水草に包まれていて、なんとも清々しい感じがする。

■ナバホ滝■

少し休憩した後、少し下り坂を降りていく。ちょっとなだらかな道に出ると横にはさっき落ちていた水が流れている。河に掛かった橋を渡り、急な坂道にさしかかると轟音が響いてきた。少し足元が悪いが、ハバス滝の上から横に滝を見ながら下っていく。
上から覗くと滝壺が青いターコイズ色をしていて、そこにむかって大きなシャワーが勢いよく流れ込んでいる。水煙がベールの様にパァーっと広がって美しい。

■ハバス滝■

水際まで降りていくと大きな木々がターコイズのプールを囲うように緑陰を作り、太陽がプールの色を様々に変化させる。

ああ、思い描いた通りの美しい場所だ。 なんて瑞々しい所だろう。ここでは小鳥やリスや蝶たちが集まって伸びやかに歌っていた。

私達は水辺で持って来た昼食をとり、一時間
ほどその景色を楽しんだ。 水煙のベールも滝の音も心地よい。目をつぶれば太陽の温もりと水の滑らかさが身体全体に伝わってくる。この心地よさに名残は惜しいが、帰りのこともあるのでそろそろ出発することにした。

帰りは少々上り坂が多いが、道が柔らかいのであまり苦にはならない。 帰る道々鳥や水の音を録りつつ行く。 途中で木を切る人々がいた。行きに土で造った小屋の近くだ。 仕事中だったので挨拶だけしたがなぜかそばに黒い山羊がいて、私に擦り寄って来た。 ほっとくと服をもむもむ噛みだした。食べられても困るのでちょっと辞退して先に進む。

すぐ近くにちょうど河のそばに岩がふたつ並んでいる所があったので、私達は少し休憩をした。もう村は目の前だ。何かを燃やす煙も見える。 岩の上にごろんと寝そべり伸びをするとすごく気持ちがいい。まだまだ身体の節々は痛いけれど、すっかりリラックスできたハイキングだった。 明日はもうこの土地を離れるのかと思うと、なんだかとても名残惜しい。


3/3 ハバスパイ→キャンプベルデ

■ハバス滝■

今日も快晴だ。ハバスパイも今日で終わり。 もっとゆっくりしたかったなあー。またこよっと。

ヘリコプターが飛ぶまで時間があるのでカフェで朝食をとり、社交場をのんびり眺める。今日は朝から人が多い。パンケーキと珈琲。特大のが3枚も入ってる。全部は食べられなかった。さすがに(笑)


なんだか社交場に足を怪我した人が多い。それも女の人ばかりだ。 犬もゴロゴロ寝そべっている。今日もポストオフィスの前にキャラバン隊のような馬の列が並んでいる。郵便物の配達かしら。 そうこうするうちに時間がきたのでロッジに戻ってチェックアウトを済ませ、ヘリコプター乗り場に行く。乗り場と言っても広場のベンチで座って待つのだ。

■ハバスクリーク■

ヘリの受付をしていたお兄さんに申込みをすると、部族の人達が全部済んだら乗れるということらしい。こうしてわたしたちは10時から1時過ぎまでの3時間、いつ順番がまわってくるとも知れず待ち続けることとなったのである。

今日は金曜日。人がいないので、次は乗れるかなと思ってると、ヘリが着く度どこからか人が現れて乗っていく。私たちはただぼけーっと座ってるだけだ。
まあ考えてみれば、このヘリは観光用のものではなく、人々の足なのだから当然と言えば当然なのだが、しかしいつ乗れるか判らずに待つ、というほどつらいものはない。(笑)

しかし、このベンチに座っていると様々な人々の様子を見たり、たくさん人とおしゃべりができる。もちろんボキャブラリーが貧困なのでたいした話はできないが、この村に関わっている部族以外の人々のことを知ったりそれを通してハバスパイの生活もかいま見える。なんだか善意が集まっているようなそんな気持ちのいい風景が見えてくる。

待ちくたびれてすこし疲れてきたとき、いつも気持ち良くあいさつしてくれた村のおじさんが声をかけてくれた。
「ヘリコプターに乗れないの?」「今日は人が多くていつになるかわからないみたい」「そうか。もう少しいたら?」(笑)「母に明日会わないといけないから」「そうか。それはいいね」「また来たいわ」「うん。ぜひおいで。じゃあまたね」
「See you!」とあいさつしてくれたのはバカピのアニーと二人目だったので、とてもうれしくなってなんだか疲れが吹っ飛んでしまった。

1時をまわったころやっと私たちの番が来た。初めてのヘリコプター体験。 あっというまに着いてしまったが、いやーこの浮遊感は気持ちいいんだか悪いんだか。

キャニオンの岩壁が斜めに見えたりすぐそばに見えたり、地面も見えるし、恐いってのもあるけどそんなことすら考える余裕もなく、きゃーきゃー言って笑われてた(笑) パイロットは私たちの様子を見て両手を離して見せたりして、充分楽しませてくれた。

あの苦しいトレイルをほんの10分ほどで駆け上がり、私たちは車に戻ってファラパイロッジへと向かった。そこで昼食をとり、一路フェニックスへと向かう。 しかし、ヘリコプターに乗るのが大幅に遅れたので今日の宿は17号線沿いのキャンプベルデでとることになった。 宿についてみると、なんだかハバスパイでの3日間がまるで夢の中の出来事のような不思議な感じがした。
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