Native Americanの大地へ


3/9 グランドキャニオン


■快晴のグランドキャニオン■

空は快晴。しかし気温が低いせいか、除雪車がここまで来ないせいなのか部屋のすぐ前の駐車場は雪がまだしっかり積もっていた。車の上にもこんもりと。私たちはまず車の上の雪を降ろし、凍てついたガラスを水で解かす。日射しは結構きつくなってきた。みるみる雪が解けていく。

私たちはまず、マスウィックロッジからすぐのエルトバーホテルに向かった。エルトバーホテルは公園内で一番古く伝統的なホテルで、夕食の予約の為と、このホテルはリムのすぐそばに建っているので晴れたグランドキャニオンを見たいということになったのだ。

着いてみると、昨日はあんなに雪雲がたれ込め(それも美しかったが)くすんだ感じの色合いだったのが嘘のようにくっきりとはっきりとキャニオンが迫ってくる。空の青に松の緑、キャニオンの赤に昨日の雪の白がすっきりとしていて眩しいぐらいだ。ところどころに浮かんでいる黒い雲の影が一層そのコントラストを際だたせている。

私たちはホテルでディナーの予約をした後、前に建っているホピハウスに入り、ジュエリーなどの工芸品やお土産を見た。ここはかなり充実したショップのようだった。ひとしきり堪能した後、私たちはツサヤン遺跡に向かって昨日来た道を引き返した。そこは小さな博物館と、12世紀後半の小さなアナサジの村落跡、キバや住居などの遺跡が見られる所なのだが残念ながら博物館は閉館中だった。

博物館のすぐ横の屋外にある遺跡を巡る短い小道を散歩する。周辺は松などの低い林で暖かい日射しが足元の雪に反射していた。石組みが少し残っているだけの小さな遺跡だが、その中では一番大きなキバのところまで行くと前に案内板がある。キバを背に案内板を読んでふと顔を上げると、木々の間からサンフランシスコピークがくっきりと美しい山容を現していた。この火山が噴火して、その時に様々なカチナ(精霊)がうみだされたという彼らにとって神聖な場所だ。彼らは毎日ここから美しい山を望み、キバにて祈りを捧げたのだろうか・・・。

私たちは再び森の中のドライブウェイを走りヴィレッジに戻り、そろそろお腹も空いてきたのでブライトエンジェルロッジのレストランに入った。結構混んでいたがここのレストランのパンは焼きたてでとてもおいしかった。午後はビレッジから西側のドライブウェイを走り、ハーミッツレストに行く。

こちら側の道は少し狭く、リムのすぐそばを走るところもあってなかなかスリリングな感じの道で、前に来たときには鹿の親子が道路を横切るなど、野生動物の多い場所だ。ハーミッツレストも古い建物で中は土産物屋になっているのだが、入ってすぐの天井の高いラウンジには大きな暖炉があり、薪の焼ける良い香りが漂っている。暖炉の前には銀髪の老夫婦が和やかにくつろいでいる。崖のすぐそばに建っていてポーチからはグランドキャニオンの西側が一望できた。


■夕焼けのノースリム■

帰りはいろいろなポイントに立ち寄って、グランドキャニオンの夕景を眺めることになった。どこのポイントも美しく足元のすくむ思いをするが、モハベポイントでの落日のページェントは風の冷たさも足元のおぼつかなさもすべて忘れさせる。

たくさんの人々が息をのんで見守る中、壮大で美しい物語が目の前で進行していくのだ。

最後の閃光が消えたあと、しばらく声もなく風の冷たさに我に返ると急にお腹が空いてきた。ディナーの予約が7時なのでそろそろエルトバーホテルに向かおうと車に乗り込んだ時、日本人の大学生2人組がビレッジまで乗せてもらえないかと言う。

聞けば同じマスウィックロッジだったので乗せてあげた。2人ともかなりの軽装で、こんなに遠いと思わず歩いて来たのだそうだ。3月の標高2000mの高地にこんな格好で・・・とちょっとあきれたが、グランドキャニオンというと寒いというイメージが無かったらしい。そういえば前に来たときも日本人の若者がテントを担いで軽装で雪の中を歩いているのを見かけたことがあった。

気候ぐらいはちゃんと調べて来ないと死んじゃうよ。アリゾナの自然はそんなに甘くないんだから。と、ちょっとわたしがブーたれているとき、うちの母は2人を見かねて使い捨てカイロを渡し、楽しそうにおしゃべりしてました(笑)

エルトバーホテルでのディナーは、ちょっと緊張してたのに給仕の人がやけに明るく変な間を持った人だったので楽しくくつろぐことができた。レストランの雰囲気も伝統的で重厚な感じの室内の割に山岳リゾートっぽくみんなカジュアルな服装で、和やかに食事をしていた。料理の方はちょっとこってりしていて量も多く、全部は食べられなかったがワインもデザートもおいしかった。格安旅行ではなかなか経験できないことだったので大満足でグランドキャニオン最後の夜を過ごしたのだった。

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