Native Americanの大地へ


3/8 モニュメントバレー→グランドキャニオン


■朝日を浴びるモニュメントバレー■

昨夜早々と眠ったせいか早朝4時半頃目が覚めた。外に出てみる。空は少し白々としていた。 空気は冷たく静かで気持ちがいい。ナバホの伝統的な生活では、ホーガンの入口を必ず東向きに作り、毎朝日の出の光をホーガンの中に迎え入れ朝日にむかって祈るのだ。「この美しい大地と共にあるように」と。薄紫色の空は徐々に黄金色の光に染まっていく。モニュメントバレーのメサ群は神々しく輝いていた。この旅の間中ずーっと美しく素晴らしいことばかりにであったけれど、今日もきっと良い1日に出会えるに違いない。

朝食の後、レイさんとひとしきりあいさつをして彼のお母さんと妹さんと一緒に記念撮影をし、私たちはホーガンを後にした。今思えばもう少しお母さんとお話がしたかったのだけれど、彼女はナバホ語しかだめだということでちょっと残念だった。でもレイさんに教えてもらったナバホ語の「ありがとう」を言うとなんだかそれで充分なような気がして嬉しかった。また是非再会したいなあ。


■リトルコロラド■

車はグランドキャニオンに向けて来た道を戻る。このあたりは今日はいい天気なので来たときには真っ白でほとんど見えなかった周りの風景も、ナバホのミュージシャン、シャロン=バーチの曲にのせて楽しませてくれる。グランドキャニオンには160号線から89号線を南に向かい、16マイルほどのキャメロンの町で64号線に入る。

ナショナルパークに入る手前にリトルコロラドリバーを望む場所があった。少し雲と風がでて天気が悪くなってきた。河幅の狭いリトルコロラドは今にも崩れそうで足がすくむ。私たちは怖い手すりのそばから離れ、駐車場のそばに開かれている露店を冷やかすことにした。ネイティブの人々がやっているお土産屋さんだ。焼き物や銀細工、ジュエリーや石の彫刻、皮製品などが所狭しと並ぶ。何度か行ったり来たりして悩んでいると、少し値引きをしてくれたりなんかしてなかなか楽しい。

私たちは再び64号線を走る。途中からカイバブナショナルフォレストの中を走る。最初は背の低い木々が続くが標高が上がる毎に背の高い森になっていく。グランドキャニオンのサウスリムは標高2000mから2500mの高山地帯なのだ。道には雪が全くないが、木々の足元には残っている。 20分ほど走るとグランドキャニオンサウスリムの入口ゲートがある。ここで車一台の料金を払い、一番東のビューポイント「デザートビュー」に着いた。

雪がチラチラ降っているがさすがに有名なグランドキャニオン、世界中から人が来ていてこんなに人間を見るのは久々かもしれない。(笑)ここは前に来たときに朝日を見た場所だ。今は夕方で雪雲が覆っているが、雪の積もった木々の緑と谷底を流れるコロラド川の青色がキャニオンのくすんだ赤色に映えて美しい。標高差1500mほどあるだろうか。

キャニオンはいつも違う表情を見せてくれる。柵の周辺に集まっている観光客のざわめきやガイドのマイクの音が交錯するビューポイントと柵の外のキャニオンの世界は別の世界にあるようだ。ここグランドキャニオンはアナサジ族にとって大地の子宮であり、その子孫であるホピにとっての聖地なのだ。

グランドキャニオンがこのように河の流れによって削られ始めたのは今から400万年から600万年前ほどなのだそうだ。地球の歴史上から考えるとまだ新しい活動らしい。そして今なお着々と谷底は削られ、古い地層が少しずつあらわになっていく。その力強い造形と河の流れは、ここを訪れる人々に大きな畏怖と豊かな恵をもたらしたのだろう。


■デザートビューからグランドキャニオンを望む■

私たちは昼食をとり、今日の宿に向かった。ここグランドキャニオンナショナルパークサウスリムは自動車道だけでも端から端まで50マイルほど距離がある。公園の中心地ヴィレッジまでおよそ30分ほどかかる。どんどん雪が激しくなってきた。南ゲートのガソリンスタンドでガソリンを補給してマスウィックロッジに着く頃にはあたりは真っ白で何も見えないほどだった。
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