Native Americanの大地へ


3/6 ツバシティ→モニュメントバレー


■163号線■

今日も朝から天気が悪い。今にも降り出しそうだ。少し早く目が覚めたので、みんなでツバシティトレーディングポストで買い物をする。カアンのモカシンとラグコースターを買う。やはり雪が降ってきた。車は160号線を北東に走る。かなり激しく降ってきて周りの景色はほとんど見えない。裸馬が寒そうにうつむいている。左側に石炭採掘場とそれに伴うレールがずっと続いていた。

カイエンタ近くになると急に岩肌が赤く、メサが高く迫ってきた。谷あいを抜けるといきなり雪はやみ、視界が大きく開ける。少し日も射してきた。カイエンタの町中に入る。すっかり周りは赤茶けた岩と土の世界だ。163号線に入り、モニュメントバレーへと進む。両側と前方に巨大メサ群が現れた。すごい。

■ゴールディング
トレーディングポスト■

まっすぐな道を進んでいくと、20マイルほどのところにモニュメントバレーのビジターセンターがあったが、お腹も空いていたのでゴールディングのレストランに向かった。紅茶とナバホトルティーヤのターキーサンドを食べ、ミュージアムとトレーディングポストに行く。ミュージアムは1940年代頃からの西部劇に関する資料や撮影風景の写真が飾ってあり、西部劇ファンには堪らないだろう。私の母も大はしゃぎだった。(笑)

3時頃にラグ作成の実演を見せてもらう約束なのでホーガンに向かう。ホーガンとは遊牧部族のナバホ族伝統の住居で、そこに泊めてもらえるB&Bがあるのだ。モニュメントバレーから10マイルほど戻り、6450号線に入る。未舗装道路だ。裸馬が横を歩いている。看板もなく、3、4マイルほど進んでもそれらしきものがない。途中で携帯をかけてみたが通じず、見つけた家の人に尋ねたが英語が通じない。途方に暮れた私たちは、ゴールディングまで戻って人に聞こうと、今来た道を引き返した。もうすぐ163号線というところで一台の車と出会う。宿のことを聞くと、まさに宿の人の車で、私たちはホッと一息つくことができた。

■ホーガン■

さっそく後についていくと、小さいホーガンと大きなホーガン、その後ろに修復しかけの家、馬舎があった。小さい方のホーガンに案内され、中に入ってみる。ああ、本物のホーガンだ。今日は男のホーガンだ。ホーガンには女と男があるらしい。男専用とか女専用とかで決まっているわけではないらしい。ジェンダー分類とかいうやつだ。

今日泊まるホーガンは丸太を三角錐に組み合わせ、四角い入口を少し突き出させ上から土で覆ってある。部屋の中心には薪と石炭をくべるストーブがあり、そこから煙突が屋根に突きだしている。土の上にカーペットと羊の毛皮を敷き、ナバホデザインのブランケットを敷いて寝床にする。本当に昔ながらの生活だ。もちろん電気も水道もない。しかし、宿の方は至れり尽くせりで、フルーツやミネラルウォーター、紅茶等を持ってきてくれたり、部屋を綺麗に飾ったりしてくれた。

少し遅くなったが、4時頃ラグの実演を行ってくれるらしい。手織のナバホラグは有名で、織っているところを見たいと日本からの予約の時にお願いしておいたのだ。実演してくれるのは彼らのお母さんだ。

■ナバホ・ラグ■

4時になって大きなホーガンに行くと、中にはお父さん、お母さん、レイさん、弟さんと全員揃っていた。お母さんが部屋のすみにある織機で実演してみせてくれる。

織機は金属の平たい棒で枠組みが作られ、そこに木の棒で縦糸を支えている素朴な造りのものだ。そのそばで弟さんがいろいろ道具について、また糸について説明してくれた。だいたい幅1m、長さ1mほど織るのに約4ヶ月ほどかかるらしい。あと染色は、周囲の植物を煮出してやることや、横糸をはさみこむ為の櫛や、棹(さお)等全部自分たちの手作りであることなど、色々説明してくれる。完成品も見せてもらった。素朴な意匠と色の味わい深いラグだった。(欲しい!)と思ったが、これまでにトレーディングポストなどでラグの値段を色々見ていたので、きっと高いだろうと値段を聞くことができなかった。今思えば聞いて買っておいたらなあ・・・


ラグは手に入れられなかったけど、お母さん手作りの植物の実とビーズで作ったネックレスをいくつか買うことができた。このネックレスはつけたまま眠ると悪い夢を追い払ってくれるのだそうだ。みんなで記念撮影をして、自分たちのホーガンに戻った。

■荒野のおトイレ■


明日の打ち合わせと宿泊代の残りを払い、夕食まで腹ごなし、と思っていたら6時前に夕食が来てしまった。ナンのような感じのナバホブレッドとトウモロコシと羊肉のスープだ。地面に直接置いて食べる。伝統的なナバホの生活では食事は地べたでするものらしい。すべては大地からの恵なのだから大地に置いて食べるのだと教えてくれた。トウモロコシは皮が少し固めで歯ごたえがあり、見慣れたものよりずっと粒が大きい。羊肉は長時間煮込まれていたのか柔らかく食べやすい。味は塩味のあっさりしたスープだった。

食後私たちは外をうろうろしたり、トイレの探検をしたりしたが、日も落ちて寝床に横になってガスランプの明かりの下で日記をつけていると、この薪のストーブがめちゃくちゃ熱い。まるでサウナ状態だ。レイさんが寒かろうと大きなコークスを入れてくれたのだが、ホーガンは保温効果抜群なので、私たちはどんどん服を脱いでいくことになった(笑)

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