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今日は死ぬのにもってこいの日-Many Winters-
ナンシー・ウッド  著  金関寿夫  訳   めるくまーる
  本文  p.14-p.15より
もしもおまえが
枯れ葉ってなんの役に立つの? ときいたなら
わたしは答えるだろう、
枯れ葉は病んだ土を肥やすんだと。
おまえはきく、
冬はなぜ必要なの?
するとわたしは答えるだろう、
新しい葉を生み出すためさと。
おまえはきく、
葉っぱはなんであんなに緑なの? と
そこでわたしは答える、
なぜって、やつらは命の力にあふれてるからだ。
おまえがまたきく、
夏が終わらなきゃならないわけは? と
わたしは答える、
葉っぱどもがみな死んでいけるようにさ。
訳者あとがきより
この詩集をもっともユニークにしているのは、タオス・プエブロのものとして歌われている、その「死生観」であろう。原著の表題自体にもある「冬」(winter)という言葉が、いわゆるキーワードであること、これは言うまでもない。「冬」は普通、万物凋落の季節、一年のしんがり、「死」を暗示する。だがここでは違っている。「冬」は「再生」、「甦り」を意味するのである。万物は、一度死ぬことによって、生を取りもどす。そしてこの思想の背後には、歴史を直線的ではなく、「円環的」に見るこの民族の癖が隠されている。
この本は著者がタオスプエブロの古老達との交流から、その生き方に感銘したことを詩にしたものです。タイトルを見るとドキッとさせられますが、読んでいくうちにとても落ち着いた気持ちになっていきます。しっかりと、強く、心に響いてきます。まるでいろり端でお話を聞いているような・・・。

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