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リトル・トリー |
フォレスト=カーター 著 和田穹男 訳 めるくまーる |
本文8 ぼくの秘密の場所より彼女は甘い香りが好きで、灰汁の石鹸をつくるときに、いつもスイカズラの花を混ぜるのをぼくは知っていた。祖母は麝香虫の匂いを嗅ぐと、ぼくを上まわる興奮ぶりをあらわにした。「こんなすてきな香りは初めてよ!今まで麝香虫のことを知らなかったなんてどうしたわけかしら?」夕食のテーブルを囲むとすぐに、祖母は祖父に向かって麝香虫の話を始めた。ぼくは、祖父の手に虫をのせて匂いを嗅がせた。彼もやはりびっくりした顔になって、七十年生きてきたが、こんな匂いはついぞ嗅いだことがない、とうなった。祖母が言った。「おまえはとっても正しいことをしたんだよ。なにかいいものを見つけたとき、まずしなくちゃならないのはね、それをだれでもいいから、出会った人に分けてあげて、いっしょに喜ぶことなの。そうすれば、いいものはどこまでも広がっていく。それが正しい行ないってものなんだ。」小川で水を跳ね散らかして遊ぶものだから、ぼくはびしょ濡れになった。だが、それを見ても祖母はなにも言わなかった。子供が森や川でやらかす遊びについて、チェロキーのおとなたちは絶対にしかったりはしないのだ |
ジョゼフ・ブルーチャック(インディアン作家)__「パラボラ」より「リトル・トリー」はチェロキーの編む籠のようだ。自然が恵んでくれた材料で編まれ、デザインはシンプルで力強く、たくさんのものを運べる。この本は「小さな古典」と呼ばれてきたが、私の感じではそれ以上のものだ。これまでに書かれた最高の自伝の1つである。環境、家族の絆、人種差別、人間関係___どの一つをとっても誤解や無視によって破壊的な結果をもたらしかねないが、この本はそのすべての問題について深い関心を寄せている。この本は今の世に求められている。これを読み、理解し、行動に移すなら、おとな、子供を問わず、人々の生活を変えうる、そのような本だ。 非常に気持ちの良い本です。ひとつひとつの言葉が心に染みわたります。 厳しさと悲しみと喜びとやさしさがぎっしりと詰まっています。
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