彩埴2009報告

 

 今頃ですが彩埴展の報告です。

1年前から準備を進めていた久々の自己企画の展覧会です。 今回は前回のメンバーに平面作家を1人加えて3人で開催しました。 展覧会当日まで山あり谷あり艱難辛苦乗り越えて(オーバーなようでオーバーじゃないのよこれが(笑))思った以上に最初の目的が達成できた展覧会となりました。

今回の目的とは、まず現代美術作品を住空間に置くことで身近に感じてもらうこと。これは土塔庵の空間と作品達がうまく調和して観覧者の方々にはゆっくり鑑賞していただくことができたようでした。日本家屋では座ることが自然と見る姿勢となりますので、目線が低く作品との距離感が近くなったり上の方にある作品に対しては見上げる姿勢になるので空間を含めた視覚に自然となります。 空間を含めた視覚で作品をとらえることは、作品世界と自分との関係をより自然に感じることに繋がるのではないかと思えます。構えずに作品を自然に感じることができればどんなに楽しくなることでしょう。 今回は3人3様その空間の捉え方も色々で、観ていただく方にも飽きずに楽しんでもらえたのではないかと思うのですがどうだったでしょうか。

もう一つはいろんな人に観てもらうこと。美術関係の人、音楽関係の人、建築関係の人、ご近所のおばちゃんおじちゃん、若者、子供、学生さんなどなど。。。今回は地元コミュニティ紙への掲載が功を奏していろんな方に来ていただきました。会期の半ばから後半は雨も多く、なかなか厳しい条件でしたが遠くからも来ていただきました。人来るかなーと心配だった公開制作にも来ていただきました。制作途中なのですから当然完成品の展示は無いのですが、遠くから来られた方もおり申し訳ない気分になったりして、私たちも初めてのことに右往左往してしまいました。持ち込んだ作品を絨毯に並べて観ていただいたりして、和服問屋さんの様でした。(笑)

ワークショップも開けてみれば吹田や八尾や遠くから来られた方ばかり。何日もかけて試作を重ね、土採りをし土絵具を作った甲斐がありました。大人も子供も2時間集中して楽しんでおられた様子が印象的です。 現代美術って楽しいねって感じてもらえるようにこれからも企画したいなーと改めて思いました。

最後の一つは作り手にとってのお話。その空間そのものが歴史を持ち呼吸をする。そこにどう作品空間を創っていくのか。これは一つの挑戦であり、またそれを経験することで自分の作品にとって大きな刺激や変化を受ける機会になると考えていました。
私自身土間とそれに続く庭との繋がりを空間としてどう捉えるか、そこに重点を置いて構成することになりました。

テーマは「生まれるもの」。果樹の庭の青々とした瑞々しい空間が生命力を、庭の眩しさとは対照的に歴史を感じる陰影のある空間の土間にはそこに息づく人々の土との暮らしを感じそれを形にしたいと考えました。 最初は土間という場所を交流の空間と考え、建築物の役割としても内と外を繋ぎ、神(火の神様などカマドや井戸などがある場所には神を祀る)が日常と交わる場所など境界線上の空間と考えました。

しかし公開制作の期間1日中土間に座って縄をなっていて感じるのは、頭でイメージするのとは違うもっと土臭い、生活に根ざした人と自然の関係でした。土間にも庭にも人々が自然から受ける実りを表現したいと自然と思ったのです。そうしてできた作品がどことなく神を祀るような雰囲気を持っていたことは不思議でもあり至極当然でもあったように思います。 この感覚は私にとって本当にかけがえの無い収穫となりました。

最後に、今回この展覧会の為にご尽力下さった土塔庵関係者の皆様、告知に御協力下さった皆様、遠くより近くより御越し下さったすべての方々に感謝致します。
ありがとうございました。


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